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July 19th
2010

フォークランドで出会った旅人(4)

カテゴリー: My Falklands, Weblog, フォークランドで出会った人々

 

前回のつづきで、M青年のお話。

あまりにタカビーな婦人にキレる寸前の私とケイ。

そんな時ふと背後に人の気配が。

婦人もそちらに目を向ける。

 

「あの・・・お疲れでしょうから、お部屋で召し上がっては、と思いまして・・・」
お盆の上に、ティーポットなどお茶セット一式とケイの手作りクッキーを載せて、M青年が邪気のない、はにかんだような笑みを浮かべて立っていました。

 

(うは・・・なんつ~最強の笑顔やねん(ノ゚ο゚)ノ)

 

さすがの婦人もM青年の行動と笑顔に意表を突かれたのか、先ほどまでのタカビーな雰囲気は崩れ、

「あ・・・あら・・・ありがとう。じゃ、頂こうかしら。」
と上擦った声でお盆を受け取ると、部屋に消えていきました。

 

思わず顔を見合わせる私とケイ。
M青年は何事もなかったかのように階下へ。

そして、これまた最強の笑みを浮かべて、「おやすみなさい」と言ってリビングに消えて行ったのでした。

そして私は・・・そして多分ケイも、さっきまではバンバン悪態をつきたかったのに、なんだかそんな気持ちも消えうせていました。

二人で苦笑いを浮かべて、「じゃあ、私達も休みましょうか・・・」ということで、それぞれ自室に戻ったのでした。

 

う~ん、Mマジック・・・なんとも不思議な感じでした。

さっきまでは、腹が立って仕方がなかったのに、なんだかどうでもいい気持ちになってしまって、気持ちは一転して、明日のキング・ペンギンの繁殖地があるヴォランティア・ポイント(以下VPと記します)行きに向かっていました。

 

あ~、そういえば、明日のVP行きは、Mとシェアだったなあ。

 

フォークランド最大のキング・ペンギンの繁殖地があるヴォランティア・ポイントまでは、途中からオフロードの道なき荒野を行くことになります。しかも、その土壌はピート質で、水はけの悪い場所といい場所を植生から判断して、その時の土壌の状態に合ったところを注意深く進むことになります。

過去長期間雨が降らず土壌が乾いている場合は、片道2時間半。逆に雨で土壌がやわらかくなっている場合などは、4時間くらいかかるという風に、土壌の水分の状態で、大分所要時間も変わります。

この土地に精通している人間でなければ、この荒野に踏み込んでものの15分ほどで、車がスタックして立ち往生になるのは間違いないというほどの、悪路です。

 

ですので、よそ者がこの土地に行くには、このVPにツアーを催行している地元のオペレーターが運転する車で行く、という選択肢しかありません。クルーズ船の場合は海からのアプローチもありますが、ここはゾディアック・ランディングも結構難しい場所なので、よほど海の状態がよくなければ、クルーズ船も海からの上陸はトライしません。

 

私は、その後取材でフォークランドを訪れるということが念頭にあったので、選んだオペレーターは、ここでいくつもの海外取材班のコーディネーターを務めていたT。

気が合うようなら、今後も私の現地パートナーになってもらうつもりでした。

 

翌朝Tが迎えにやってきました。

初めて顔を合わせたTは、噂で聞いていた通り、生真面目さも兼ね揃えたナイスガイでした。

オフロードを行くので、車は日本製のランド・クルーザー。

ボコボコのオフロードでは助手席の方が後部座席よりずっと乗り心地がいいのはわかっていましたが、まずはMを優先するつもりでした。

 

ところがM青年。何の迷いもなく私に助手席を勧め、さっさと後部座席に乗り込んでしまいました。

 

(全く・・・どこまでいい人なんだか・・・)

 

そう。

 

出会ってから、昨夜のタカビー婦人の対応に至っても、まだ私の中ではこの時点までは、M青年は、

「たまに出会うレベルの、不思議な雰囲気を湛えた、魅力的な旅人」

でしかありませんでした。

 

それが、このVP行きで・・・M青年は私の中で特別な存在へと、決定的に変わるのでした。

前の話で、「2つの事件」と書きました。このVP行きでもう1つの事件が起きるのですが、それプラス・・・事件ではないのですが、私にとっては、まるで何かで頭を殴られたかのような、大きな衝撃を受けるような出来事も起きるのでした。

 

長くなったので、また続きにします(;´▽`A“

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コメント / トラックバック10件

  1. Takema より:

    いやーすごいですねーM青年。

    意表をついたその機転、「まさかそうくるとは!」と
    思わず「ほぉー」とうなってしまいました。

    実は今日はちょっと大変なミーティングがあったんですが、
    そういう手が‥いや、あそこでお茶とクッキーとはいかなかったか(笑)。
    ま、こちらも大きな山を越えたんで何よりです。
    今日はこれから屋上で展望焼肉大会。ま、夫婦2人だけでですが(笑)。

  2. トム より:

    息子はツェルニー100番の20の練習がなかなか終わりません(;;゜д゜)

    ベルギーの青年のお話は3分割ですか(-_-)
    序章を入れて4分割・・・ブツブツ

    TABI様、次で終わりますよね(☆_-)キラン

  3. manchot より:

    はらわたが煮えくりかえっているところに、まさにびっくり水のように収めたM青年。
    こういう人間になりたいと思いつつ、私は(3)の話の時点で、夫人をグーで殴ってましたね(^^;

  4. むむむむむむ~~~~~
    つ、つづきをwwwww!

  5. 斎藤美香子 より:

    Takemaさんへ

    私たちもびっくりでした。「げっ!?なんでお前お茶なんか持ってんの?」としか思わなかったけど、
    あのマジックか何かのような婦人の反応・・・おどろきましたよ。

    Takemaさんもお出かけ前に仕事の山を越えたというとこですか?
    これで心置きなく出かけられますね。

    南半球なんとか・・・とか意地悪なこと言ってるみたいですが(笑)

  6. 斎藤美香子 より:

    トムしゃんへ

    トムしゃん・・・
    だから、これは、某ロなんとかさんなら、20分割(←前回は15と言ったところは突っ込みなしで:爆)で
    書くような話を、私は短くですね・・・オッホン・・・(爆)

    息子さん、頑張ってるじゃないですか。
    たまには怪しい御菓子とか買ってあげてね(笑)

  7. 斎藤美香子 より:

    manchotさんへ

    manchotさんのおっしゃるとおりなんですよね~。

    私もいつも直球勝負人間なんですが、やっぱりいつもそれじゃいかんだろ~
    と思ってはいるんですが、ダメです(笑)。
    こういうことは年齢を重ねればそれなりに・・・というわけでもなく(笑)。

    パーじゃなく、グーなんですね(←突っ込みどころはそこ?:爆)

  8. 斎藤美香子 より:

    シャンティcocoさんへ

    お友達に気持ちが通じたみたいでよかったですね♪
    縁あって知り合ったお友達・・・私もじたばたして引き止めたいもんなあ・・・

    あ・・・続き(汗)

  9. ラオマイ より:

    こんばんは。
    M青年の存在がなんとなく凄い・・ような感じに思えてきました。
    そのやさしさに確かに怒りなど消えそうですね。
    それにしても道のりが大変なのですね。

  10. 斎藤美香子 より:

    ラオマイさんへ

    2編まとめて読んでくださったのですね。ありがとうございます。

    M・・・会ったのは8年前なのに、今でもはっきりとその存在感を覚えています。
    不思議な青年でした・・・。

    こういう場面で「柔を持って・・・」というのが出来ない私なので、ああいう裁量のある人は
    あこがれます。

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  • 斎藤美香子: シャンティcocoさんへ cocoさん、おひさぁ~~(#^.^#)...
  • シャンティcoco: ふぅ。やっとここに入れた・・・ と思ったら、...
  • 斎藤美香子: ようめさんへ ようめさん、コメントありがとう~~(#^....
  • 斎藤美香子: ダニーへ コメントありがとう。年末風邪ひいた時にビタミ...
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