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September 8th
2010

フォークランドでの自炊(2)

カテゴリー: My Falklands, Weblog, フォークランドでの日々

 

前回に引き続き、食材が限られた離島での自炊生活について(^O^)/


(NEW ISLANDの入り江) 

羊・鶏・牛などの家畜を飼っている島に滞在する時なら、肉・牛乳・卵などをもらって調理に使えるのですが、問題は、野生保護区指定になっていて家畜などを一切置いていないNEW ISLANDなどに滞在する時。

 

何故家畜を置いていないか・・・。

NEW ISLANDが野生保護区になる前は、この島にも羊などの家畜がいて、それらの家畜の過放牧によって、島の元来の植生が大きく失われてしまいました。

かつて人間が入植する前は、フォークランドの離島はタサック草(ペンギン草という愛称もあります)という丈の長い植物に覆われていました。このタサック草は大小様々な種類の鳥類や昆虫類の棲家となり、豊かな生態系をはぐくんできました。ペンギンでは、イワトビペンギンやマゼランペンギンなども、このタサック草の中に巣を構えたりしていたのです。


(タサック草とマゼランペンギン/ペンギンと比べるとタサック草の大きさがわかりますね)

このタサック草(ペンギン草)のことについては、長くなりますし、またいろいろ興味深い話もたくさんあるので、次回にでも別記事で書くことにして、今回はこのくらいにしておきます。

 

缶・レトルト・保存食以外の所謂生の食材では、前回書いたように長期保存の利くじゃがいも、たまねぎ、にんじん、生姜、ニンニク、りんご、卵などを持ち込みます。

取材の時などは、特別にお願いして、研究サンプル用の冷凍庫を少しスペースを空けてもらって、1~2回分の冷凍肉などを持ち込むこともあります。

 

でも・・・全体的には保存食メインの質素な食事が続くことになるので、大変です(ノ_-。)

そこで・・・時間に余裕のある時は食材採集をします(*^o^*)

でも島には木や森など一切ないので、自生している植物の種類も非常に限られています。先のタサック草などは、硬くて食べられるシロモノではありません(笑)。

砂浜には、「SEA CABBAGE(海キャベツ)」なんていう名前の植物が生えていたりするんですが、これまた名前に似合わず細かいトゲトゲがあって硬くてとても食べられたものではありません(><;)


(SEA CABBAGEとジェンツーペンギン) 

植物では・・・食に耐えうるのは、「ワイルド・セロリ」という名の植物。

所謂セロリとは全然違うもので、感覚としては、パクチーみたいな香草系。なので大量に食べるものではなく、あくまでビタミン追加のための香り付けの香草程度の量しか食べられないし、また、そんなにたくさんあるわけではありません。

他には「DIDDLE DEE(ディドル・ディー)」という赤い小さな実をつける植物があって、フォークランドではジャムにして食べられるものなのですが、これも実がなっている時期とそうでない時期があるし、また、煮込んで砂糖を加えて食べないと、生では苦くて食べられません。ジャムは瓶で既製品を持ち込んでいるし、敢えてジャムを作ったことはありません。


(DIDDLE DEE) 

じゃあ、地面に自生しているもので、一番のごちそうは!?

 

きのこで~す♪

でも、このきのこ、生える所が非常に限られている上に、量もあまりありません。

野生きのこだと、一番毒キノコが気になると思いますが、離島で自生しているきのこは一種類だけ。離島なので菌も入ってこないからでしょう。なので毒の心配はなく食べられるのですが、とにかく量が少ない上に、かなり遠くまで歩いていかないとなかなかありません。

 

なので取材時のように時間のない時、大人数の時(人数に見合う量は絶対採れないので)はきのこ採りに出かけたことはありません。

一人で島を回っていてたまたま見つけたら集めていくみたいな感じでしょうか。
でも、ラッキーなことに群生地に当たって、スープが作れるくらいの量が採集できた時は、マッシュルーム・スープが好きな私は、天にも昇るような気持ちです♪

以上が陸上での採集ですね。

 

言う間でもないことですが、鳥類などは大小たくさんいますが、野生保護の観点から食べたりはしませんよ(汗)。ず~っとず~っと昔の初期入植の頃に、食用にもたらされたウサギもいて、ウサギなんかは外来種ですから捕ってもいいんですが、そう簡単に捕まるものじゃないし、やっぱり可哀想・・・(><;)


(標準レンズで撮ってます。1mくらい近くまでは寄れますが、それ以上近寄ると逃げます:汗) 

ところで、前回の記事に「ペンギンの卵、なんちゃって!!」なんてコメントを頂いたのですが、実はこのペンギンの卵・・・初期入植の頃からまだ野生保護の意識が薄かった数十年前までは、諸島では普通に食べられていたものでした(@Д@;

そして・・・驚くべきことに、実は現在でも一部の卵が食用になっています。昔一番盛んだったイワトビペンギンの卵の採集は全面的に禁止されたのですが、ジェンツーペンギンの卵に関しては、ライセンス制度の下で量的には昔に比べればずっと少ない数ではあるのですが、今でも食用にされています。

このことについても、後日別の記事で詳しく書くことにします。

 

あとは・・・
離島と言えば、周囲を海に囲まれていますからね!!
やっぱり海産物!!なんですが、魚に関しては沖合いに船を出さないとなかなか難しいです。そんな船もないですし、第一海は荒れていることが多いので危ない(@Д@;

ですので魚については、静かな湾内などで、滅多に釣れない魚をただただ根気強く狙うという手はあるのですが、1日粘っても1匹も釣れないのは普通(汗)。なので、こんなこともヒマがなきゃやってられません(笑)。

 

その代わり、海で豊富に取れる食材があります!!
海草とムール貝です!!

引き潮になると湾内の岩場にはムール貝が!!海岸には海草が!!


(海草を食べる鳥たち。奥の岩場にはムール貝がびっしり♪) 

但しこれについては、ちょっとした(かなりの?)覚悟が必要なので、取材など仕事がかかっている時は、そんなに気軽には食べません。

覚悟というのは所謂「貝毒」、そして海草も、赤潮などで毒性を持っている場合もあります。
貝毒のひどさは・・・牡蠣に中ったことのある方ならわかるでしょうが、酷い場合は10日間も嘔吐・下痢・高熱のオンパレードになりますので、気軽な気持ちでは食べられません。

 

でもどうしても食べたい場合は・・・まずは1つ蒸して食べてみます。
貝毒がある場合は、食べてすぐに口の中がピリピリしたり、意識朦朧となったりします。
食べてみて2時間経って・・・大丈夫そうな場合は、よ~く火を通して食べます。一度食べて「あそこのは大丈夫だからまた食べられる」というものではなく、日々潮の状態で毒性は変わりますので、油断できません。

 

ということで、フォークランドの離島での採集生活も実はそんなに楽ではありません(笑)。

 

次回以降は、今回ちょっと触れたペンギン草とも呼ばれるタサック草、そして、ペンギンの卵採集の習慣や歴史について書いてみます。

 

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コメント / トラックバック22件

  1. おおおお~。過酷な食事情ですねぇ。
    ムール貝が食べられるかどうかは、料理中に銀のスプーンを入れてみるとわかる(銀が毒に反応して変色する)・・・
    と、昔フランス料理の番組で見たことがありますが、
    あまりメジャーな方法ではないのですね。^^;

    ムール貝がいっぱい食べられるなんて夢のようだけど、
    蒸してもお腹を壊すなんて、恐ろしくて手が出せません>.<

  2. トム より:

    こういう内容の記事って・・・
    読んでいて物凄く想像力を掻き立てられますよっヽ(^o^)丿
    面白いです!

    やっぱり旅で1番心配なのは、私は食べ物です(笑)
    日本って何でも手に入るし、美味しいから困りますね(*_*;

  3. かよぱ より:

    写真は、どれもきれいでお腹に優しそうなのにねー。
    保存食って、ありがたいものなんですね。
    宇宙食の方が、TABIさんの旅行先よりいいもの食べてるかもですね。

  4. すまみ より:

    おおお~モリを担いで海に飛び込むTABIさんの姿をちょっと想像してしまったけど、そうではないのですねー^^;
    きのこが食べられるとかムール貝が取れるとかいう情報はやはりお互いに情報交換して学んでいくものなのですか?

  5. 夜梅 より:

    これほど食糧事情の悪い場所に最初に住みついた人には
    どういう事情があったのでしょうね・・・?
    って前にも似たようなことを書いたような気が(笑)

    最後に、ああ、ムール貝があるんだ、良かった良かったと思ったら、
    それも気軽には食べられないものだと言うし~。
    (生牡蠣に中った義兄は、それから何十年も経ってるのに
     未だに牡蠣フライでさえ絶対に食べないそうです)

    厳しい島の生活・・・とても興味深いです。
    なんて、離れた場所に要るから言えることかしら(汗)

  6. ローラン より:

    もう思わず笑わなければ読み進められないほどに過酷^^; 
    あれもこれもといろいろと選択肢を出してみるものの、そんなに簡単に
    自然の離島では採集生活なんてできませんよね!

    特に貝毒のお話はシビアな感じがしてしまいます。
    私の印象からすると、絶対にTABIさんはあたりやすそう?
    というか、お腹が弱そう?
    いやいや、結構お腹がデリケートというか。
    だから、試し食いなんて怖いような気がします(;_:) 
    そんな思いをしてフォークランドから戻って来られるTABIさん、
    いつもご無事で何よりだったと今さらながら感慨深いです~

  7. どらきら より:

    きれいな自然とかわいいペンギン達の写真の裏には

    サバイバルなTABIさんがいるのですね。

    さぞや・・・取材の終わる頃は痩せて?   ^^;

  8. ずんこ より:

    この間貝を一口食べたら舌がビリビリしました。
    ので、だしおに
    「なんか舌がビリビリするから食べないほういいよ」
    と言うと
    「全然そんなことないよ!」
    と言ってぺろりと食べちゃいました。
    ちなみにこの貝、例のうにフェスであったでっかいカラス貝だったのですが・・
    同じ1つの貝を2人で分けたのです。
    同じ貝でも人によってビリビリ感じたり感じなかったりするのでしょうか??
    ちなみにだしおは全くあたりませんでした。
    そーいえばってことを思い出しました。

    あたいもきのこ採りしてみたいです。
    今までの人生できのこ採りしたことないんですよね、あたい。

  9. 斎藤美香子 より:

    シャンティcocoさんへ

    おお!!銀のスプーンですか!!全然知りませんでした。いいことを聞いた~ヽ(゚◇゚ )ノ
    っつ~か、そんな高級スプーン持ってないから、まず買わなきゃですね(爆)
    cocoさん、物知り~~♪

    ムール貝美味しいですよね。ワイン蒸し≧(´▽`)≦
    私は食いしん坊なので、貝に中るくらいへっちゃら(牡蠣で10日以上下痢・嘔吐・発熱経験2度あり)なんですが、さすがにフォークランドくんだりまで来て寝込むのは悔しいので、我慢します(ノ_-。)

  10. 斎藤美香子 より:

    トムさんへ

    想像力ですかっ!そんなこと言ってもらえて嬉しいヽ(゚◇゚ )ノ

    旅先での楽しみであり心配でもありますよね。
    オーストリアは食事美味しいから、楽しかったんじゃないですか?

    日本は物価高いとか言われますが、食べ物に関しては、安くても美味しいものいっぱいありますよね。

  11. 斎藤美香子 より:

    かよぱさんへ

    なんかね~。
    海に囲まれてるから魚イケルでしょ~!!とか思うんですがね~(^o^;)

    保存食ってホントに有難いと思います。特にアルファ米!!
    水でも戻せるっつ~のは素晴らしいですね!!しかも炊き込みご飯やら何らや、バラエティありますからね。

    宇宙食は・・・なかなかいいもの食べてる感じですよね。
    かなりお金かかってそうな。
    確か汁とかが飛び散らないけど、ちゃんとラーメンの味がするものとか、野口さんとか食べてましたよね。

  12. 斎藤美香子 より:

    すまみさんへ

    モリを担いで・・・でちょっと吹きました( ´艸`)
    やっぱり亜南極圏だけあって、ホントに水温低いんですよ。
    カメラマンも水中取材用にウエットスーツ持って行ったんですが、寒くていられない~~って言って、あんまり使ってなかったし。

    すまみさんも、山やる方だから保存食とかレトルトとか詳しそうですよね。

    きのこは以前どこかの家でごちそうになった時に情報聞きました。
    ムール貝は、引き潮になるとどどっと現れるので、聞くまでもなかったんですが、貝毒でやられたことが何度かあったので、慎重に(;^ω^A

  13. 斎藤美香子 より:

    夜梅さんへ

    いろいろ時代背景があったみたいです。
    1つは、南氷洋での捕鯨や、あざらしの皮やペンギンオイル産業なんかの基地として利用されたりとか、あとは、パナマ運河がなかった頃、ゴールドラッシュに南航路が使われて、フォークランドが補給とか船の修理基地として使われたりとか。

    義兄さんも中ったのですね。
    私の周囲でも中った経験のある人は「食べようとしてものどを通っていかない」とか「もう食べない」とか言ってる人が多いのですが、食いしん坊の私は2度も苦しい思いをしてもなお、いまだに生牡蠣は大好物です(●´ω`●)ゞ

    夜梅さんは三半規管も強いけど、おなかも強いイメージがあります。
    まさに地球を周るために生まれたからだですね(爆)

  14. 斎藤美香子 より:

    ローランさんへ

    いや、ローランさんだって、メキシコで食べ物関係のネタはいろいろあったんじゃないですか?( ̄▽+ ̄*)

    貝に中るとホントにつらいですよ~。生牡蠣は2回。どちらも10日間くらい吐きまくってました。
    というか私がおなかが弱いの、ローランさん知ってますものね(汗)
    あの時は、ローランさんのおいしい手料理が、おなかの不調でたくさん食べれなくて残念でした(ノ_-。)

    結構不潔な環境の食べ物とか食べてるんですが、いつまでたっても鍛えられません・・・というか、おなかは幼少の頃に鍛えられるのかなあ・・・(笑)

  15. 斎藤美香子 より:

    どらきらさんへ

    そうですね~。自炊する所では、ホントに質素にやってますよ~(^▽^;)
    まあ、マメな人はきっともっとレパートリー豊かな食生活が送れると思うのですが、生来面倒くさがりやなので(汗)

    あ!!フォークランドから戻るといつも3~5kgは痩せて戻ってくるんですよっ!!
    結構歩くし、食べ物も質素だからだと思いますが(笑)

  16. 斎藤美香子 より:

    ずんこさんへ

    カラス貝!!おお!!そのピリピリ感は貝毒っぽいけど、弱い毒性のものだったのかなあ・・・
    でも、なんにしても不調が起きなくて良かったですね!!
    でも、同じもの食べても全然平気って人いますよね。だしおさんもずんこさんもおなか強そうなイメージ。

    だからきっと世界旅行に行っても、どこでも何でも美味しく食べられるんじゃないですか≧(´▽`)≦

    あら、山形出身なのにきのこ採りしてないんですかっ!!
    きのこ、山菜採りと言えば、ウチの両親、よく山形に出かけてましたよ。

  17. manchot より:

    ・・・私には無理ですね(^^;
    アルファ米と、ふりかけで、過ごすしかないな。

    ペンギンと仲良くなって、魚捕ってきてもらうしかないなv(^^)v

  18. 斎藤美香子 より:

    manchotさんへ

    あ~、でもペンギンウォッチングの時間をmaxで捻出するには、
    アルファ米とふりかけで過ごすのが一番かも知れません。

    アルファ米のすごさを身にしみて感じます。
    そこそこ美味しいし、水で戻るというのがすごいですよね!!

  19. くみ より:

    食べれそうなものありそうで
    ないんですね。ムール貝をそんな
    ドキドキして私なら食べられないかも。。
    そんな場所から町に戻ってレストランに
    入ったらば「下界に戻ってきた~」って
    かんじになるんでしょうか( ´艸`)

  20. ゆみ より:

    なんて過酷な食事情なんでしょう!!
    食べられそうで食べられないものばかり
    やっぱり安全なのはアルファ米や
    日持ちのする野菜のように持ち込んだものなんですね。
    貝毒は怖いですものね((((○。○))))・・・・・
    何の心配もなく食べられるって幸せなことなんだなぁって改めて思いました。
    でも過酷だからこそ野生のペンギンに会えたら嬉しいですよね☆○o。..:*メチャメチャヾ(*’∀`*)ノゥレシィ*:..。o○☆

  21. 斎藤美香子 より:

    くみさんへ

    くみさんは貝毒経験はまだナシですか?
    あれはつらいですよ~~。普通の食あたりとは全然違う・・・もう水を少し口にしただけで吐きます(大汗)

    そうですね~。くみさんの言うとおり、町に来て外食できるようになると、何でも美味しそうに見えるし、
    「にく・・・にくぅ~」みたいな飢餓状態に(●´ω`●)ゞ

  22. 斎藤美香子 より:

    ゆみさんへ

    ゆみさんのコメント見て思い出しました。
    そういえば日本から「乾燥野菜」なるものも持ち込みます。私の持っていくのは、普通に売ってるラーメンに入れるようなやつですが、登山とか本格的な目的の場合は、食品会社で、オーダーメイドで作ってくれるみたいですよ。

    貝は・・・美味しいけど、中った時が激烈ですよね。

    でも、ゆみさんのおっしゃる通り、まずはペンギンに会えれば幸せってことですよね(*^o^*)

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  • 斎藤美香子: シャンティcocoさんへ cocoさん、おひさぁ~~(#^.^#)...
  • シャンティcoco: ふぅ。やっとここに入れた・・・ と思ったら、...
  • 斎藤美香子: ようめさんへ ようめさん、コメントありがとう~~(#^....
  • 斎藤美香子: ダニーへ コメントありがとう。年末風邪ひいた時にビタミ...
  • ダニー: (=^・・^=) 向こうに住んでて、こちらにはたまに仕事で来るんでし ょ?...

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