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October 28th
2010

ペンギンの卵を食べる

カテゴリー: My Falklands, Weblog, フォークランドの歴史

 

フォークランドではその昔、ペンギンの卵がよく食用にされていました。


(イワトビペンギン)

・・・と過去形で書くのは正しくなく、実は現在でも、ペンギンの卵は一部食用にされています。

ペンギンの卵採集の歴史は、18世紀頃から始まり、最初は主に、南氷洋でクジラ漁・アザラシ漁を行う船舶の船員の食料として利用されたといわれます。ペンギンの卵は、アザラシ油に漬けておけば、半年以上は楽に長期保存出来る便利な食材だったそうです。

食用にされたのは、主にイワトビペンギンとジェンツーペンギンの卵。フォークランド政府の考古学部署には、イワトビペンギンの卵が山盛りに盛られた荷車の隣で、正装した婦人たちが微笑む写真が残っています。こうして地元の婦人たちが、島を訪れる船員たちにペンギンの卵を売っていたことが、古い文献や日記などからわかっています。

 

ペンギンたちは、卵の他にも、オイルを採るために大量に殺戮されるという受難の時代もあり、ペンギンオイル産業、卵採集とも、ペンギンの生息数を大幅に減少させる大きな原因となりました。


ペンギンオイルを採るのに使われた、ペンギンを茹でた釜や、ペンギンたちを追い込んで撲殺した石の囲い跡などは、今でもいくつも残っており、錆付いた釜や石の囲い跡を見る度に、ペンギンの受難の時代に思いを馳せずにはいられません。

そして現代になり、諸島にも「野生保護」という観念が少しずつ根付いてきたわけですが、実は1964年に制定された野生動物・鳥類保護法でも、ペンギンの卵の採集は禁止されず、どの種のペンギンの卵も、許可制度の下で採ることが出来ました。

世界的にも危惧種として認識されてきたイワトビペンギンの卵採集が全面禁止されたのも、野生動物並びに環境保護法(1999年)と、ごくごく近年であり、現在でもジェンツーペンギンとマゼランペンギンの卵については、発行数は限っているものの、鑑札を取得すれば採ることが許されています。

野生保護も大事だけれど、ペンギンの卵を食べるというのも、古来の伝統習慣として尊重されるべき、ということで、これは、日本の捕鯨論争にも少し似たところがありますね。


(ジェンツーペンギン) 

私の現地の友人知人の中にも、この鑑札を持っている人が少数ながらいて、「ペンギンの卵でケーキを作ってあげようか?」と言われたり、台所にジェンツーペンギンの卵がいくつか置いてあるのを目にしたりすることがあります。

そうした申し出は頑なに固辞しているので、私自身は食べたことはありませんが、食用にしている人の話によれば、白身はかなり固めなので、ケーキなどに使うメレンゲに適しているそうで、黄身については、黄身というよりかなり赤みがかっているようです。

 

全世界的に生存数を大きく減らしているイワトビペンギンに比べれば、ジェンツーペンギンの方が危機の度合いは低いとはいえ、少数でも現在でも食用にする習慣があるというのは・・・今や食材も豊富にある時代。近い将来全面禁止になることを望みますが、まあ、日本のクジラ食用論争と似た質の問題ですよね。

それでもフォークランドは保護コントロール体制は存在しますが、キタイワトビペンギンが生息するトリスタン・ダ・クーニャなどでは、いまだに大規模な卵採集が行われていると聞きます。実際昨年フォークランドで知り合ったイギリス人の友人がトリスタンに行った時も、イワトビペンギンの卵を山積みにした漁船を目にしたそうです。

絶海の孤島で、野生保護の前に、人々の生活などで解決すべき問題が山積みだというトリスタンでは、なかなか難しいことなのでしょうが・・・近年は以前より流通環境が改善されたことにより、ロブスター輸出産業などで、以前よりは人々の生活も潤ってきていると聞くので、段々と生活スタイルが卵採集から別の方向へシフトすることを望むばかりです。

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コメント / トラックバック14件

  1. ローラン より:

    ペンギンやペンギンの卵を食べるのは、食糧の乏しい中で
    食材を確保するという点から仕方がないとは思うものの、
    でもやはり愛らしい姿を知っているとかなり気が引けますね。
    食習慣というのはその民族特有のものですので、
    ペンギンの卵を食べるからと言って決して野蛮人ではないのですが、
    きっと私でもペンギンの卵のケーキは想像力がいっぱいになって
    食べられない~(;_:)

  2. ずんこ より:

    難しい問題ですね。乱獲は良くないけれど、その土地土地の文化は守るべきだと思いますし・・。
    やはり、生活に余裕が出てこないと自然を保護しようという考えには至らないのかもしれませんよね、生活に必死なんですものね。

    でも、あたいがトリスタンを知ったきっかけは、前にもお話したかと思いますがテレビでトリスタンで獲れたロブスターが日本に輸出されているという話ででした。
    こんなあたいの所までその情報が入ってきているくらいですから少しずつ改善されてきているのではないかと思いたいです。

    でもね、行ってみたいと思ったきっかけは、そんな遠くに人が住んでいるなんて!!船で片道1週間!?困難だからこそ興味深かったってだけなんですよね。(やっぱりマゾ・・?)
    もっと勉強します。

  3. ペンギンを釜で煮る・・・! ショックです!
    しかし、人間の歴史は人間が生きるのびるために、人間以外の生物を殺し利用してきた歴史。
    今現在も、そして、食糧危機が危惧されているこれからはますます、
    我々人間は何を「食料」とすべきか・・・選択を迫られるのではないでしょうか。
    飢えた母親虎に己を食べさせた釈迦の話(だったかな・・・チガウカモ^^;)を昔は理解できませんでしたが、大人になって、少しわかってきたように思います。

    それにしても、人間の感情さえ、習慣に左右されている部分が多いんですねぇ。。。

  4. 斎藤美香子 より:

    ローランさんへ

    そうですね~。まあ、「じゃあ可愛くない鶏卵ならいいのか?」と、肉食の自分を考えると道理の通らない話ではあるのですが(汗)、やっぱりペンギンは・・・(@ ̄Д ̄@;)・・・ですよね。

    まあ、「クジラを食べる」というのも、同じ感情を持ってとられちゃうんでしょうね。
    でも若い世代の人はペンギンの卵はほとんど食べないみたいだし、日本でも、クジラ、そうですよね。
    だからあと少し経ったら、自然になくなる習慣なのかなあ・・・

  5. 斎藤美香子 より:

    ずんこさんへ

    そうですね~。抵抗感感じても、相手の伝統文化を傷つけるような発言は出来ないし~、と思います。

    そうそう、トリスタン。
    今回のウロウロでは行くつもりかな?
    うまくロブスター漁の船とかに乗れたらいいね!!(←行くと思っている:爆)
    その現地に行ったイギリス人の友人の話では、地元の人たちってなかなかよそ者に心を開かないから、親しくなれたのって1週間くらい経ってだんだん・・・って感じだったそうな。
    悪い人たちじゃなかったけど、娯楽とかもないからお酒(安いんだって)に溺れてアル中になっている人とかも多かったんだって。

    あっ、ずんこさんの場合、お酒を通じて仲良くなれるかも?(爆)

  6. 斎藤美香子 より:

    シャンティcocoさんへ

    そうなんです(ノ_-。)。可愛いペンギン様たちは、茹でられて、ぎゅぎゅーっと絞られて油をとられたんですよ(涙)。
    イワトビ8羽で1ガロンの油が取れたそうです(ノ_-。)。

    まあフォークランドでは、オイル産業はなくなったし、ペンギンの卵採集も、世代交代したら、自然となくなっていくのかな~とは思います。トリスタンはどうかな?う~ん。

    そうね。食料問題・・・生態系が崩れてくるとおのずと食料問題も環境も劇的に変わってくるし・・・あの生態系ピラミッドのどこがおかしくなっても、ピラミッドは崩れるんですよね・・・絶対。

  7. トム より:

    う~ん(=_=)難しい問題ですね(汗)
    四足なら何でも食べるという民族もいますからね。。。
    所変われば犬だって(*_*;

    そして、ペンギンオイルとかあったんですね~
    いろいろな事を知ってしまうと可哀そうです。。。
    動物園で見てるだけだと分からない事、たくさんですね(>_<)

  8.  個人的に、牛もかわいいと思うし、子羊にゃ、メロメロになったりします。クジラも好きです。でも、豚肉より牛肉が好きだし、ジンギスカンも大好きだし。クジラ肉のフライなんてサイコーだし。ただ、それは、あくまでも消費者としての視点なんだろうね。
     例えば,スーパーで「ペンギンのタマゴ10個入りパック」って売ってたら・・・。あの、ヒナの可愛らしさを考えると、食べるためには絶対買えない。でも、「ペンギンのタマゴを使った厚焼きタマゴ」があったら、恐いもの見たさで試食しちゃうかも(鬼!!)
     「食の伝統文化」と生物保護、喰いじの張った人間には耳の痛い問題です。
     

  9. manchot より:

    食文化は、いろいろですから、何とも言えないけど、最後に食糧がなくなったら、きっとクジラも食べるんじゃないかな。

    地球温暖化の原因のメタンガス、牛のゲップにも含まれていて、牛肉を食べなければ、かなり防げるらしいです。

    でも、誰一人として、牛肉文化をやめようとはしない。

    日本人の好きなエビも、海外でマングローブがエビの養殖場に変えられてるって話も聞いたことがあります。
    (明らかに、日本に輸出するためですね)

    うーん、生きて行く為には、食べなくちゃいけないからなぁ・・・

    小さな国の食文化、あれこれ言えませんね。

  10. 斎藤美香子 より:

    トムさんへ

    確かに難しい問題ですよね~~。
    犬・・・ううう・・・確かに。
    日本には、一人で日本国民全体の消費量に相当する焼肉を食べる人間が、四国に生息してますしね(爆)

    ペンギンオイルは、有力説では、全盛の時代は200万羽のペンギンが犠牲になったとか。
    ペンギンじゃないけど、良質の毛皮を持つが故に多数犠牲になった動物もいますしね(涙)。

  11. 斎藤美香子 より:

    肉食系ふりっぱーちゃんへ

    なんだ!このハンドルネームは!!(爆)
    そうそう。感情論だと、「可愛い動物はかわいそうで、可愛くないのはいいのか!?」なんだけどねえ~。
    私もジンギスカンは苦手だけど、牛肉や鶏肉は好きだしねえ。

    でも、家畜と野生動物の決定的な差は、語弊はあるけど、家畜なら人間が増やせるし、極論数頭しかいなくなっても人工的に増やせるけど、野生動物は人間が増やすことは出来ないし、数が少なくなったらもう絶滅への道まっしぐらってとこだよね。
    極地生物だと、ペンギンの前に、まずはホッキョクグマが心配だよねえ(涙)。

  12. 斎藤美香子 より:

    manchotさんへ

    食文化や地球の食糧問題を考え始めると、難しい問題が満載ですよね・・・。
    頂いたコメントから、manchotさんの地球環境問題への意識の高さを感じました。

    manchotさんが書いてくださった問題の中で、私も関心が高いのがエビ養殖のことですね。
    東南アジアのマングローブ減少の問題は、日本の食卓と直結してますよね。知る人はまだまだ多くはないかもなので、もっと知られてほしいですが。
    マグロやシャケ養殖と同じように思われてるかもですが、それらとは全く違って、現在のエビ養殖の姿は、本当に生態系にとっては不健康極まる姿ですよね。

  13. キタロック より:

    ペンギン大好きだからこそ、食べてみたさもあります。

    専門学校で『その生き物を知ることは、まず食べること』と先生に習って、勉強したナマコ、アジ、ハマグリを台所でノートを見ながら内臓の名前とか確認しながら美味しく食べたことがあります。同じ生き物でも対象がかなり違いますが・・・

    マリンパーク時代、無精卵を割ってみたら美味しそうな生卵の匂いがして、みんなと『でっかい目玉焼きできるね』とか『ペンギンって鶏肉みたいなのかなぁ』とか話したこともあります。お客さんにもたまに聞かれるんですよー!!

    ペンギンが食べられることがないようにはなってほしいけど、食べられるなら食べてみたいと思ったり・・・。

  14. 斎藤美香子 より:

    キタロックちゃんへ

    いい話ありがとう。そうなのよね。肉食でいろんな生物の命に生かされてる身だし、可愛くない動物なら食べても何の感情も湧かないのかってこともあるよね。
    学校のそういう授業を経験したなら、その自分を生かしてくれてる生物の命を真剣に受け止める気持ちも出るし、ありがたみもわかるよね。

    そっか、無精卵割ったりする機会あったろうね。やっぱりここで書いたように(人の話を)、白身が固くて、黄身は赤みがかってた感じかなあ・・・貴重な話をありがとう♪

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