Home > Weblog > My Falklands > ペンギンとオタリア

Weblog

January 27th
2011

ペンギンとオタリア

カテゴリー: My Falklands, Weblog, 海獣類

 

取材でフォークランドに行くと、「オタリアにペンギンが捕食されるシーン」を、取材班の方々が所望されることがあります。


(一応・・・刺激の少ない写真を選びましたが、気分を害された方がいたらごめんなさい)

実際取材の現場で、オタリアに遭遇することも多々なのですが、オタリアたちは近くにペンギンがたくさんいるにも関わらず、ただ水面をスイスイと漂っていたり、ペンギンが傍を次々と歩いていく岩場でのんびり昼寝をしていたりすることも多いのです。

 

実際日本でも、「オタリア=ペンギンの天敵」、すべてのオタリアがペンギンを食べると認識されている節があると感じるのですが、実際はそうではありません。

オタリアの主食はもともと、イカやタコ、ロブスタークリル(オキアミの仲間)や魚で、実はペンギンを捕食するのはごく限られた個体だけで、しかもその捕食が盛んな時期もそう長くはないのです。

現地の研究者の話では、ペンギンを捕食するのは「はぐれ者のオス」がほとんどということで、その理由などについては、まだまだ研究の余地があるということです。

その捕食が盛んな時期は、フォークランドについて言えば、メスが出産のために陸にあがってくる12月後半の前、オスたちがテリトリーを形成する12月前半だといわれます。この時期のオスたちは非常にアグレッシブで、我々も注意して観察する必要があります。

 

その体躯からは想像出来ないかも知れませんが、実はオタリアは非常に動きが早く、近づいた時に本気で追いかけられた場合、地面のコンディションがよければ、我々が走っても簡単に追いつかれてしまうほどだそうです。

実際私も、丈の長いタサック草の生い茂った海に近い場所を歩く時は、かなり用心して歩くのですが、かなり内陸部に入ったところにあるタサックの中でもオタリアに遭遇したことがあって、その時は心臓が口から飛び出るかと思ったほどびっくりしました。

幸いそうアグレッシブな個体ではなかったので被害はなかったのですが、あの巨体(大型のオスだと体長は2.5mを超え、体重も300㎏以上になるそうです)でのしかかられたら、本当に大変です。

 

先月の訪問のタイミングは、まさにこのオタリアのオスがアグレッシブな時期に当たったので、オタリア絡みのエピソードがありました。

 

1つは、牧羊が行われている島での話。
羊や家畜のための柵(針金と支柱で出来たもの)があちこちにあるのですが、大型のオスとメスのオタリアが、この柵を次々と倒して(体を伸び上げてその圧力で倒すのです)コテージの近くまでやってくるのを目撃。

すごい迫力でした・・・(汗)

しかも、そのままそこに交尾や昼寝のために2日ほど居座っていました。

(コテージ近くに居座ったオタリア。下にはメスがいます) 

また、ペンギンが捕食されるシーンは何度か目の当たりにしました。

主にジェンツーペンギンでしたが、そのほかにもイワトビ、マゼランも犠牲になっていました。ジェンツーとイワトビは、エサ採りが終わって上陸してくるところを浅瀬で待ち伏せされてというパターン。

そして今回、初めてマゼランが犠牲になったのを見ましたが、これは海岸でまったりしていたマゼランの集団のところに海中から突如オタリアが出現。すごい速さと勢いで1羽捕まってしまいました。マゼランが捕まるのは珍しいと思います。

(マゼランを捕まえたオタリア) 

 

また、このオタリア。
諸島内のどこにもいるというわけではなく、全くオタリアが近海にやって来ない島もあれば多い場所もあります。オットセイも同じくいる場所と全くいない場所があります。・・・オットセイはペンギンは食べませんが、遊びでなのでしょうか、ペンギンを追いかけてみたりするようです。海中で高速移動中、オタリアとオットセイを見分けるのは難しいでしょうから、そのためオットセイにもペンギンたちは非常に慎重です。

 

オタリアやオットセイが近海に生息しているところと、そうでないところでは、ペンギンの生態行動に大きな違いが見られます。また、そのほかの面、例えば繁殖の面でも、ペンギンたちはその生息環境や、その年の天候やエサの状況など様々な要因で、実に様々な姿を見せます。

ペンギンの生態や行動については、様々な本で定説が語られていますが、私がフォークランドで約10年間観察をしてみて感じていることは、「ペンギンの生態や行動は、すべてが定説に沿ったものではない」ということ。1つのステレオタイプの定説ですべてを語れないということです。

これはフォークランド「だけ」を観察しての私の感じ方ですので、ペンギンが生息しているところ、すべてで綿密な観察調査を行ったら、もしかしたら今までの定説に訂正を加えなければならないところも出てくるかもしれません。

 

まあ私は研究者でも専門家でもありません。おそらくは私が師と仰ぐ現地の保護活動家と同じく「ナチュラリスト」という道を歩んでいきたいと思っていますが、現場で私が目にしていることは、いろいろな形で(このブログも含めて)発信していきたいと思います。

 

実は、ペンギンファン垂涎の貴重な情報を発信している「ペンギン・スタイルTV」に、来月2月のゲストとしてご招待を受けました。

限られた放送時間内ですので、テーマを1つ絞って何かを話したいと考えています。とりあげるテーマについてはこれから考えますが、とりあえず映像や画像を多様して、可愛らしくもたくましいペンギンの姿をお見せつつ、肩の凝らない内容にしたいと思っています。また、視聴者の方々のフォークランドに関するご質問など(番組にツイッターで参加することが出来ます)にも答えていきたいと思いますので、是非ご視聴宜しくお願いいたします。

放映日などが決まりましたら、URLやツイッターでの参加の仕方などもお知らせいたします。

 

Share and Enjoy:
  • del.icio.us
  • Facebook
  • MySpace
  • Twitter
  • Digg
  • LinkedIn


コメント / トラックバック6件

  1. manchot より:

    おっ、やっと真打ち?登場ですね。
    もう、1回目の放送から、いつ出演されるんだろうと、思っていました。

    時間なんて気にしないで、ガンガンお話聞かせてください(^^)v
    まずは、イワトビさんの、「おまた」の話し?(^。^)

  2. トム より:

    生放送なのでしょうか?!
    今度こそは(爆)ご報告楽しみにしております(=^・^=)

    まさに野生という感じです。。。
    いきなりオタリアには遭遇したくないですね(苦笑)

    部室で待ち伏せされる感じでしょうか(*^。^*)

  3. 斎藤美香子 より:

    manchotさんへ

    いや…ホントになかなか予定やタイミングが合わなくて(大汗)

    そうか!「オマタ」の話はやっぱりしなきゃ!!なんですね。
    頭からすっかり抜けてましたが、確かにこれも話したい(爆)
    おばかっぷりをさらしてしまいますが(大汗)

  4. 斎藤美香子 より:

    トムさんへ

    部室で待ち伏せされるほうが、身の危険もあり、怖いかも知れません(爆)

    はい。生放送です。ツイッターで番組参加も出来るようなので(→自分、ツイッターやらないアナログ人間なのでよくわかってない:爆)、ツイッターで放映中つぶやいてください(ペコリ)

    まずは明日バレンタイン・ナイトかなっ(爆)

  5. どらきら母 より:

    弱肉強食と分かっていても・・・それが自然の摂理と分かっていても・・・ごめんなさい目をそらしてしまいます。

    以前ゾウアザラシのオス達がどちらかが動けなくなるまで戦うと聞きました。メスは沢山いるのに分かち合えないのか?それが強い子孫を残すためとは複雑でした。

    今もインフルエンザで鶏が殺処分を受けていますがいずれ人間の食べ物として処分されるとはいえ複雑ですね。

    TVで会えるのを楽しみに・・・^^

  6. 斎藤美香子 より:

    どらきら母さんへ

    コメントのお返事が遅れてごめんなさい。

    >自然の摂理とわかっていても・・・

    そうですよね。当然です。これは・・・私も論理的に理解したのではなく、ある意味残念なことなのかそうではないのかわかりませんが、「慣れ」でした。
    フォークランドに行き始めの頃は、所謂かわいそうな場面を見ると何日も悲しい気持ちが続いたり、心が痛んだりしたのですが、なれてくると、その時は「かわいそう」と思うのですが、悲しい気持ちが続くことはなくなりました。

    鳥インフル・・・そうですね。自然の摂理や弱肉強食で命を落とすことや、家畜が食べられることは仕方ないと思う(全く論理的な話ではないのですが)のですが、鳥インフルなどで無用の大量殺処分などは、やるせませんね。

コメントをどうぞ

Categories

Archives

Comments

  • 斎藤美香子: シャンティcocoさんへ cocoさん、おひさぁ~~(#^.^#)...
  • シャンティcoco: ふぅ。やっとここに入れた・・・ と思ったら、...
  • 斎藤美香子: ようめさんへ ようめさん、コメントありがとう~~(#^....
  • 斎藤美香子: ダニーへ コメントありがとう。年末風邪ひいた時にビタミ...
  • ダニー: (=^・・^=) 向こうに住んでて、こちらにはたまに仕事で来るんでし ょ?...

ページトップへ