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August 28th
2010

フォークランド沖での油田開発(2)

カテゴリー: My Falklands, Weblog, フォークランドの産業

 

このホームページを立ち上げて、一番最初に書いたフォークランドカテゴリーの記事が、フォークランド沖での油田開発についてだった(前記事はコチラ)が、その後~現在の状況について書いてみたい。

 

前回の記事では、英国資本のDESIRE PETROLEUM社の最初の試掘は失敗に終わったが、その後ROCKHOPPER EXPLORATION社の2番目の試掘(フォークランド沖北方のSEA LION PROSPECTと呼ばれる採掘現場)が見事成功したというところまで書いた。

このニュースで、英国本国及び現地の油田開発への期待が一気に高まり、ROCKHOPPER社の株価は過去3ヶ月で500%も上昇し、その時点で開発許可を取っていた他の3社の株価も、期待感から軒並み上昇傾向であった。

 

そしてそれと同時に、以前からフォークランド諸島の領有権をめぐって対立しているアルゼンチンでは、イギリス資本による開発に反対・阻止する動きが本格的になってきている。

アルゼンチンは、今回の採掘場所はアルゼンチン大陸棚にあると主張。現地に石油採掘プラットフォームが本国から到着する前の頃は、掘削資材を積んだ船籍のアルゼンチン寄航に対し、厳しい許可制度や制限を設けたりという動きを見せていたが、この寄航制限は特に開発に大きな影響を与えるものではないと英国側は静観。

そして、2番目の試掘で成功して以降は、アルゼンチン側の抵抗は、専ら石油開発会社やその関連会社、果てはそれらの会社と取引のある会社へと向けられているようだ。

最近では、新たに開発に名乗りを挙げた大手ARGOS RESOURCES社(1998年の第一次開発にも参入)に、ロンドンのアルゼンチン大使館から「法的措置を取る」という強い抗議文書が送られたという。

そのほかでは、アルゼンチン国内でのこうした関連会社のビジネス展開に、今後より一層の様々な規制や圧力がかけられることが予想されている。こうした動きはフォークランド国内にはあまり影響を与えていないようだが、唯一心配されているのは、この動きがチリ国内の英国資本のビジネス展開にも影響を与え、フォークランドと良好な関係を築いており、食料や日曜雑貨など多くの物資の輸入元となっているチリからの物資供給に影響が出ることである。

しかしながら、英国・フォークランド政府とも一貫して、「断固とした態度で臨む」と表明している。

 

さて、話は現地の油田開発のその後に戻るが、その後6月に入り、ROCKHOPPER社のSEA LION PROSPECTから採掘された試験用石油が、英国本国で本格分析にかけられ、その結果オイルの質は「ミディアム・グレード」と判定。そしてまた、試掘のデータ解析結果で、当初見込まれていた見込み埋蔵量1億7000万バーレルが、2億4200万バーレルに大幅修正。北海以来の最大の発見と期待されるに至っている。

 ROCKHOPPER社の株価は3ヶ月で500%上昇。そして現在の掘削作業を完了させるのに十分な資金を株で得ることが出来、今後2100万ポンドをかけてSEA LION PROSPECTのフローテストを行うことになっている。

 そして掘削プラットフォームはその後ROCKHOPPER社からBHP BILLITON社に引き渡され、5月末から、フォークランドの東沖で約1ヶ月をかけて3つ目の試掘が行われたが、これは失敗に終わった。

だが、BHPとそのパートナーであるFOGL社(FALKLAND OIL AND GAS LTD)は、「現在のプラットフォームでなく、深海用のプラットフォームを確保できたら、引き続き南及び東沖での開発を続ける」という意思を表明している。

 

そして7月末よりプラットフォームは再びROCKHOPPER社に引き渡され、同社は北沖のERNEST PROSPECTという場所で掘削を開始したが、こちらについてはつい最近失敗を表明。

ということで、現在のところは5社が参入しているこの石油開発、現在のところ試掘は1勝3敗という結果になっているが、とりあえずこの「一勝」の埋蔵量がかなり期待できるという分析結果が出ているために、当面石油開発は活発に続けられると思われる。

なお、9月頭からは、石油関係者と関係物資の輸送のために専門の通称「オイル・フライト」が2週間に1便イギリス~フォークランド間に就航することになったので、これまでのんびりとした田舎町と雰囲気だったフォークランドにも、新しいタイプの人の往来が生まれることになる。

 

フォークランド政府で、この油田開発の担当大臣的存在(現地には大臣という名の役職は存在しないが、日本的感覚で言えば)である鉱物資源開発局のディレクターが、長年懇意にしてきた私の知人なのだが、彼女も「油田開発にはアップダウンがあって当たり前で、今のところ状況には満足しているし、今年後半にはもっと参入会社を募集する。」という意思を表明している。

 

前回の記事でも書いたように、1998年の第一次開発時と同じように、思わしくない結果が出て、すぐ取りやめになるのではと思っていた第二次石油開発。その後の分析テストなどで埋蔵量への期待が高まっているこの状況は、私にとって完全な誤算だった。

フォークランドの野生動物を見つめ続けてきた立場としては、とにかく今後の開発が生態系や環境に与える悪影響を憂慮するばかりである。

しかしながら、はるかに安定した環境に暮らすよそ者が、理想論だけを声高に振りかざすのもアンフェアであることもよくわかっているので、期待に沸く現地で、無責任な発言も出来ないとも思っている。

 

今後も一生をかけて見守り続けていくつもりであるフォークランド。
この石油開発については、当面はとにかく注視を続け、現地で同じく生態系への影響を憂慮する保護活動家らの意見を尊重し、出来る範囲で応援していくということかと考えている。

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コメント / トラックバック8件

  1. 心配ですね。

    そういえば、メキシコ湾の事故のその後はどうなったのでしょう。
    あんな事故が、起こるときは起こってしまう・・・
    そして起こってしまったとき、取り返しがつかない・・・
    と思いますが・・・批判はできませんねぇ。

  2. 斎藤美香子 より:

    シャンティcocoさんへ

    コメントありがとうございます♪
    メキシコ湾は、まだ完全に流出箇所に栓をするには至っていないみたいですよ。
    新型栓を試すとか何とかというのも、賛否両論みたいで。
    あれではホントに海洋生物が影響を受けて、私達の大好きな水鳥たちも
    相当に打撃を受けたようですね(涙)

  3. manchot より:

    所詮、化石資源(石油)に頼りきって生活している人類にとって、フォークランドの生態系なんて、気にかけてるようで、最後には、経済効果と言う名の元、開発は行われるかな(T.T)

    いろんな絡みがあるから、なんとも言えないけど、開発には、自然界の犠牲が付いてくるのが、悲しいですね。

  4. 夜梅 より:

    美しい自然や、のんびりした田舎の村が
    そのままであってほしいと願うのですけど、
    その地に住んでいる人にしてみたら、
    日本の阪神間という便利な場所に住む私なんかに
    勝手なこと言われたくないかもなあとよく思います。

    でも、一度失ったら二度と取り戻すことができないことが多い、
    それが自然の生態系…。
    どうか急ぎ過ぎないでと祈るばかりです。

  5. くみ より:

    人間が大幅に消滅しないと
    どんなに地球が広くても動物たちが
    安心して暮らせる場所はないんだろうな
    って思うと本当に残念です。完全に失うまで
    暴走し続けるのかと思うと悲しいです。日本も
    この暑さは、いつか東北にもブーゲンビリアが
    咲き乱れる南国になっちゃうんじゃないだろうか。。

  6. 斎藤美香子 より:

    manchotさんへ

    「北海油田では大きな事故は起きていないから大丈夫」というのが開発側の言い分ですが、油田事故がなくても、この海域を航行するタンカーや船舶が増えるということは、南米大陸沖や南アフリカ沖で見られるような、バラストや排出オイルなどの影響は絶対に起こりますからね・・・

    まあ、これまでフォークランドの歳入の大きな部分を占めていた漁業権セールスが、この海域の漁業資源の不安定な動きで将来性にかげりを見せているので、フォークランド住民が油田開発に期待する気持ちもわかるんです。いつまでも本国のお荷物でいたくないという気持ちもあるでしょうし。なので、よそ者が無責任な発言は出来ないかなというジレンマがあります。

  7. 斎藤美香子 より:

    夜梅さんへ

    そうなんですよね。
    manchotさんへのお返事に書いたように、不安定な状況に暮らす人々が国家の経済や立場の安定を求めるのは当然のこと。環境や野生動物の大切さもわかっているけど、その前に自分たちの生活ありき・・・ホントに厳しい環境で暮らしている人々ですので、そう考えるのは当然のことなんですよね。
    なので、よそ者が感傷だけで無責任な発言は出来ないなあと思います。

    夜梅さんも地球を歩く人。
    きっとあちこちで同じような思いをされていることでしょうね。

  8. 斎藤美香子 より:

    くみさんへ

    ホントにもう地球上で人間の手が及んでいないところはない、というくらいですよね。
    極地ではまず一般人も解りやすいところでは、ホッキョクグマが最初に絶滅しちゃうんでしょうね。
    確かに、このところ人々の間に危機感は浸透しつつあるのでしょうが、まだ「もうどうしようもない危機感」ではないですからね。
    くみさんが言うように、「完全に失うまで暴走」なんでしょうね。やっぱり。

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  • 斎藤美香子: シャンティcocoさんへ cocoさん、おひさぁ~~(#^.^#)...
  • シャンティcoco: ふぅ。やっとここに入れた・・・ と思ったら、...
  • 斎藤美香子: ようめさんへ ようめさん、コメントありがとう~~(#^....
  • 斎藤美香子: ダニーへ コメントありがとう。年末風邪ひいた時にビタミ...
  • ダニー: (=^・・^=) 向こうに住んでて、こちらにはたまに仕事で来るんでし ょ?...

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